都内で車とか要らないでしょ派がテスラを買った日
未来の話をしましょう。
知ってる?おじいちゃん達って自分でクルマをウンテンしてたんだって。

クルマ…?ああ、ビークルのこと?
ウンテン、、、はわかんないや。どういう意味?

動かすってことだよ!

もっとわからないな、ビークルって座るところしかないじゃん。
ひょっとして乗らないで押してたとか?

ちょうど視界の端にあった、卵のような形をしたビークルを指差して言った。
私もわかんないよ。どうやるんだろうね、ウンテン。
ビークルも私達は使わないしねぇ。
あ、そろそろ行くね!
じゃあね、オプティマス!


女の子はそう言うとふわっと浮き上がり、飛び去ってしまった。
残された男の子――
かつて女の子の弟だった人格はつぶやいた。
そっか、おじいちゃん達はニンゲンだから飛ぶこともできなかったのかな。

そのアルミ合金製の胸にはTESLAというロゴが鈍く光っていた。

- 都内でクルマとか要らんやろ派でした
- AI好きの友人からテスラを薦められました
- ああこれは…クルマじゃない何かだ…haha…
この道がディストピアへ続くのかはわからないですが、まぁ生を全うした後のことは考えても仕方ありません。
楽しい話をしましょう。私、テスラを買いました。
出会い編
東京に住んで20年、今の住処では8年。
某イケイケ(オープン)ハウスメーカー製の狭小三階建て住宅に詰め込まれウサギのような気持ちで生活するなか、ただただ都心へのアクセスの良さだけを愛でていました。
電車で事足りる
23区内は少し歩けばなんらかの駅があります。
どこへ行くのも電車が早いし、安いし、それこそが都心の生活のあるべき姿だと思います。
自転車で事足りる
少しかゆいところならば、自転車で行けばいいじゃない。
多くの施設は自転車に優しく、沢山の駐輪スペースを無償で提供してくれています。
最悪、借りればいい
どうしても車が必要な場面が生じたら。
レンタカーやカーシェアリングサービスがニコニコしながらこちらに手を振っています。
- アプリから15分前まで予約可能
- 貸出/返却時のレンタカーライクな有人確認が不要
- 返す時間がある程度早まってもただ料金が安くなるだけ
最寄りのステーションのソリオがあれば自分はどこへでも行ける。
そう思っていました。
一方、テクノロジーの進化はとても好きな自分
当ブログでもさんざんAIやばいAIやばいを連呼しています。
もうずいぶん昔のことになりましたが、iPod Touchを手にした日の衝撃は今でも鮮明に覚えています。
ある日、AI好きな後輩に言われた
先輩、デジタルとガジェットが好きなのにテスラに興味ないんですか?
僕最近乗り換えてから電車通勤やめちゃいましたよ
ガジェットにタイヤついてますよこれ

そんなことある????
なんなんだ、走るガジェットとは。
このパワーワードに引っかかりを覚えたまましばらく過ごし、ある遠出の予定を組む日を迎えました。
気になった以上は乗ってみるしかない

テスラ専門のカーシェアサービスがあったため、思い切って借りてみることにしました。
料金はざっくりタイムズの2倍はするけど、知ると知らないの間の壁はそんな定数では語れない。

ミニマルやわ

なんといっても第一印象はこれでした
- 中央に鎮座するほぼすべての操作を担う大きなタブレット
- ほぼ最小化された物理的なボタン類
- ゆえにとてもとても広く感じる運転席からの視界
これはクルマじゃないかも、という違和感
走るガジェットという表現はここに集約されていると感じました
- ナビから空調からエンタメまで、全部タブレット操作
- EVであるためか、あらゆる制動に雑音を感じない
- なので、部屋に座っている感覚で静かに航行がスタートする
個人的な特筆事項はガラスルーフ

ガラスルーフくらい何を今更という意見はあるかと思います。
筆者は免許取得から25年来、とことん高級車には縁がなかったのでお許しいただきたい。
しかしながら、前述の操作性や静粛性と合わせた魅力として大空やビル群が頭上に広がるこのガラスルーフが標準搭載である点は完全に私の心を鷲掴みにしました。
そして、テスラをテスラたらしめる最大のポイント

アップデートにより、常にソフトウェアが進化していくということ
現状のテスラ車は日本においてはマニュアル運転を想定されています。
しかし、一部の国ではもうFSD(フルセルフドライビング)、つまり完全自動運転が解禁されているのです。
はいはい、それって次の新型車に搭載される機能なわけでしょ
僕、何か新しいモノ買ったら大体翌月に新モデル出るんですよね

そうじゃなくてな。
それがOSのアップデートにより機能提供されるんですよ。
まるでスマートフォンの新機能提供。
だからこそテスラは走るガジェットと呼ばれているのだと思います。
つまり、まだ変身を何回残しているかすらわからない状態

目先はChatGPTやGeminiに比肩するxAIのGrokが搭載されることが予定されています。
現状でもオートパイロット周りの機能を使っているときは強烈にAIを感じているのに、ユーザーインターフェース周りにこいつがやってきたらどうなるでしょうか。

つまりあーしがいつでも付いてるってことっしょ!
ナビも雑談も任せてよ!
同じくxAIが提供するAIコンパニオンで、界隈をざわざわさせているaniちゃんが常に同乗している状態も実現しうるわけです。
(もう戻ってこれなくなる人が出るのでは)
こうして私とテスラとの出会いは、概ねポジティブな印象と大きな期待を得て幕を閉じました。
検討編
高いお買い物は最低半年考えなさい。
半年経ってもまだ欲しかったら、それはきっと必要なものですよ。

天国のおばあさまの教えに従い、そこからの検討は1年近くを要しました。
- 変化:変わんのか?
- 運用:やれんのか?
- 金融:買えんのか?
この3点をクリアすればいけると考えました。
Q1:変わんのか?
ライフスタイルが変化するのか?
向上するのか?
結局ここが必要性の核だと思います。
クルマがある生活を想像できるか?それは今よりも幸せな状態なのか?
テスラは自分にとってクルマ以上の存在になる。
走るガジェットすら超える、移動式のオフィスだ。
モデルYを借りた時にテスラに感じたもの、それは居室感でした。
EVの特徴である静粛性と、蓄電性能。
それは自分のなかでまだ顕在化/言語化する前の、移動式オフィスを持ちたいというニーズを掘り起こしてくれました。
Q2:やれんのか?
運用に無理はないか?
充電環境は?そして駐車スペースは?
では物理的に持てるのか?が次の検討事項。
これはなかなかの難関でした。
お伝え忘れていましたが、弊家は狭小住宅なうえに旗竿地です。
旗竿地の戸建て(狭小住宅)のテスラの充電環境

通路部の清掃に掃除機でも使うことがあるかもしれないと搭載していた外壁の100Vコンセント。
これが蜘蛛の糸となりました。
- 公式アクセサリーのモバイルコネクターを買う
- 6メートルあるので伸ばす
- 60kWhの容量に対して、おおよそ1%/Hたまる
ざっくりばっくりですが1%の航続距離は4kmくらい。
日に40km走るくらいの利用ならば、夜間の充電で巻き返せるという運用イメージが固まりました。
次は物理的な駐車検証です。
旗竿地にテスラって停められるのか?

全幅1,920mm(ミラー含まず)
1,980mm(ミラー格納時)
全長4,800mm
先のレンタルの時、ちょっと気になってたんです。
デカ過ぎんだろと。
弊旗竿地の接道部は2,650mmあります。
なので物理的には入るものの、自転車を出せる幅が残せるかが焦点でした。

本当に真剣に検討していたので、もっかい借りて入れてみました。
そして結論が出ました。
テスラを迎えても、今まであった利便性を失っては元も子もない。
よく見たら全長もなかなかキツくて、セットバック部に鼻が出ています。
ほんの数センチずつ、我が家にはオーバースペックでした。
こうして私とモデルYの物語には終止符が打たれました。
久しぶりに時間をかけてワクワクしていた案件だったので、心が折れました。
とても楽しい1年だったな。
――何か忘れている気がする。
ん?

全幅1,850mm(ミラー含まず)
1,933mm(ミラー格納時)
全長4,720mm
キミ、いいサイズしてんね??????
ほんの数センチずつ小さいね??????
モデル3急浮上。全高200mmの差を飲めるか?
SUVタイプだったモデルYからセダンのモデル3への検討変更。
正直核となっていた「居室間」にヒビが入ったらそれはやっぱりダメだと思いました。
果たして開放感はあるのだろうか。
ん?

あったやん!!!!!!!!!!!!!!
忘れてたわはじめからあったやん!!!!
じゃあモデル3でいいやん、むしろこいつしかないやん。
この目で確かめよう。その実寸を。

自転車、通るわ。
最初に借りたモデルYのイメージだけで突き進んできた検討だったが、わずかに感じていた大きさや取り回しへの課題感もモデル3なら解決してくれる。
荷室に関してはハッチバックかどうかという点がそりゃ大きい差異なんですが、運転者としての自分にとっては致命的な差異にならなかったという話です。
じゃああとは、お金の話だけです。
Q3:買えんのか?
ファイナンスどうするの?
納得感ある買い時を見つけられるか?
それは2025年の夏に訪れました。

- モデル3在庫車に最大55万円の価格調整
- カーローン金利0%
- しかもJACCSのプランの特性で5年後残価率50%、5年延長が可能
なにこれ安い。
この金利高基調で10年0金利ってなに。体感100万円安い気がする。
車種はモデル3 -ハイランド- RWDに決めた!



補助金額は一定であるため、最安値に近いモデルほどインパクトがあります。
外装だけはテスラといえば白と思っていたので、18万円ほどのオプションを選択しています。
※:ZEV補助金は東京都の個別施策です
- 都民の方向け、ZEV補助金を増額させるTips
-
ZEV補助金の通常予定額は40万円ですが、補助金申請時点でご自宅にソーラー発電設備があったり、任意の再生エネルギー系電力プランを契約していると増額幅を取ることができます。
私はこの増額幅を取るために、東京電力 従量電灯Bというプランから下記のオクトパスエナジーというEV向けプランも提供している電力会社へ転出しました。
今なら電気代が8,000円分安くなるキャンペーンも実施中です。ぜひご確認を。
ZEV補助金が55万円になる電力会社
オクトパスエナジー8,000円紹介リンク
こんなもんモデル3ならいけると決断した自分の背中をぶっ叩くには十分過ぎる内容でした。
一般的な自動車でもガラスルーフ付くようなクラスだとこれぐらいするでしょう。
すべてのきっかけとなった後輩に連絡をした。

紹介リンクを、今すぐ、ください!!!!!

購入/納車編
haha , yes (注文完了)

テスラオーナーの間では著名なハリネズミが出てきました。
これにて注文完了です。
ここから納車までの実際の動きは下記のようになります。
実はオンライン完結で可能
テスラストアに訪問したり、セールスとやり取りしなくても注文できます
数日するとデリバリセンターから書類が届きます
ローン利用の場合の審査申し込み書や、車庫登録のためのものです
在庫があり滞りなく進めば、2週間ほど先が納車日になります
車検証は最悪前日にならないと出ないので、任意保険探しは並行しましょう
指定されたデリバリセンターに向かい、初のドライブです
注文時点からテスラアプリに登録してログインできるようになっており、これらのフローは納車タスクとしてアプリ内からも追うことができます。
ごく自然に、テスラのある生活が近づいてきます。
納車日までにやっておくと良いこと
在庫車があると納車日は本当にすぐ訪れてしまいます。
その間にやったこと、やれば良かったことをまとめました。
充電環境を確立
日々の充電をどう運用するのかを決めておきましょう
私は100Vの自宅充電で良いと考えたのでモバイルコネクターのみ発注しました。
高速化したいなら200V化の工事や、もっと早いウォールコネクター導入のための調整が必要です。
自宅充電しないにしてもJ1772アダプターなんかは車載しておいた方が良いと思います。
任意保険の検討
これ結構きつかったです
最終的に私はテスラ公式から斡旋しているSBI損保のInsureMyTesla Insuranceで契約することにしました。
- 20年以上ぶりのクルマなので、6等級スタート
- 車両保険は限定ではなく一般にする
- 弁護士特約をつける
初年度ですし、車幅に慣れるまではと思って上記を条件としてカバーしました。
来年からは車両保険外したいです…。
アクセサリーの発注
テスラ公式はアクセサリーも充実しています。
が、高いのでAliExpressでいろいろ物色される方が多いみたいです。
こちらは安いのですが、国際便ですから遅いです。長いと2週間平気でかかります。
気になるものがあったら、納車と同時に付けられるように発注しておくと良いでしょう。

有明のセンターでリボンを載せた画像を貼るべきところなのですが。
自分にとってはこの狭い旗竿地にテスラがやってきてくれたことが達成感のピークでした。
うん、どっからどう見ても入っとるわ。
ようこそ、ハイランド。
テスラのある生活編
再掲:これは間取りの拡張だ
ときにオフィスであり

どこへでも走って、停められる場所があればすぐに仕事ができる。
自宅兼事務所としている我が家で、手狭でもいいからもう一つ作業場所がほしいなと思っていました。
それがここになりました。
ときにクルマであり

趣味でテニスの草トーナメントによく出るのですが、クルマで行けるようになりました。
駅からのアクセスは厳しかった場所も多かったので、素直に嬉しいです。
ときにホテルであり(未定)

ここは本来検討していたモデルYの領域だとは思いますが。
セダンでキャンプ?できらぁ!!!

先輩諸兄につづいて、モデル3愛好家として挑戦していこうと思います。
ほぼすべて徒歩と電車と自転車で解決してきた東京生活でした。
雨の休日は本当に気分的にできることが限られてしまい、鬱々とした気分になったものです。
テスラはそんな私にガラスの傘をさしてくれたのです。
都内でEVを持つということ
乗ってない時はだいたい充電してます

100Vコンセントからモバイルコネクター給電するという運用を選択したのでまぁ遅いです。
- 週に1回、キャリブレーションのために100%充電する
- 以後は適当に乗り、60~80%くらいの残量を意識する
長く乗りたいので、あまりバッテリーに負荷がかからないよう日常使いは上記の目安で運用しています。
まだ納車後旅行には出ていませんが、都内の日常運用は上記で何の問題も出ていない状態です。
都内に行き先はあるのか?
施設で1,000円、2,000円と利用すればすごくクルマに優しかった

要らんだろ勢だったときはどこのパーキングも1時間600円に見えてたんですけどね。
よく考えたらクルマで出るということは目的地があるわけで、その目的地ではなんらかの消費行動をするわけで。
施設利用を伴う外出においては、駐車周りに不要なコストがかかることが少ないと当事者になって気付きました。
年会費無料のクレジットカードやポイントカードを持つだけで、都内で一定時間無料駐車可能になるものもありました。
年会費が無料のものに絞って、下記に一例をまとめておきます。
| カード名 | 無料時間が増える駐車場 |
|---|---|
ショッピングパークカード | ららぽーと関連 COREDO関連 ラゾーナ/ダイバーシティ等 |
| (上記に加え) 東京ミッドタウン | |
ショッピングシティイオンカード | 有明ガーデン |
| ヨドバシカメラ | |
| ヒルズ系全般 アーク森ビル等 |
都内のEVは、充電にも行き先にもそんなに困らないです。
これからテスラに支払っていくお金
ランニングコストや残債について最後にしっかりまとめておきます。
車両本体関連:年額38.7万円

月々44,143円を60回、61回目からは42,499円を60回ということになる予定です。
カーローンの総額にはCEV・ZEV補助金が含まれないため、在庫値引きと紹介値引きのみ反映した総額5,198,569円が残債となっています。
当初の目論見に従い、ここからCEVおよびZEV補助金分は差し引いて年額負担を計算するため足し込んで120で割ります。
補助金の120回均等割:
(870,000+550,000)/120≒11,833円
それを反映した年額返済:
(44,143-11,833)*12=387,720円
EVが増えたことによる増加電気代:年額4.3万円
まだ1ヶ月のデータが揃わないため、航続距離ベースで試算しておきます。
- モデル3 RWDの100%蓄電は60kWh
- 同、航続距離はおよぞ400km(冷暖房による効率低下考慮)
- つまり、月800km走るためには120kWh必要
- 自家の契約電力プランはおよそ30円/kWh
ゆえに、EV電気代は3,600円/月を想定する
保険料:年額17.1万円
任意保険:年額171,400円にて初年度は契約
自賠責保険:初回分はローン総額に組み込まれている
自賠責は次回以降は車検時に24ヶ月分を支払うサイクルにて、車検側へ統合。
車検費用:年額約6.5万円見込み
ユーザー車検で通せば3万円未満という話もあるが、テスラ公式点検が前提という指摘も
ざっくり10万円/2年で見るべきかと考える
自賠責を統合して、2年サイクルでの費用把握とする。
税金関連:当初5年不要
ひとまず当初5年は費用として見る必要がなさそうです。
すごいね、EV。
月額換算だと55,500円ですね。
5年目以降は税金でもう少し増えるでしょう。
逆に、車両保険を外す勇気があれば月額10,000円落とすこともできます。
これをクルマを買った費用と見るか、
部屋が増えた費用と見るか、
人生の余暇が増えた費用と見るか。
それ次第で高くも安くもなる値段だと思います。
おわりに
朝から雨が降っていた。
今日の予定は午後からWeb会議が一件。
それまでに発表用の資料作成ができていれば問題なさそうだ。
端末が鳴る。
友人から、首尾よく午前に有明のインドアコートの予約が取れた旨連絡が入った。
「有明ガーデン、平日はすごく長く停められるからそのまま会議も出られそうだ。」
できないことができる、行けなかった場所に行ける喜び。
まだ自分のなかに、子どもが自らの成長に震えるような感情が残っていることに気付いた。
ドアを開けて、白いハイランドへ向かう。
今日も静かに、100Vの線をつたって、未来が満ちている。


